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SAF事業の開発SAF事業の開発

世界初、規格外ココナッツをSAF原料化
国内外に新たな燃料開発を展開

地球温暖化対策の一環として、航空業界において化石燃料から持続可能な航空燃料(SAF)への転換が求められています。
当社は食糧競合のない「規格外ココナッツ」を用いたSAF開発を世界的にリード。環境負荷の低減と経済価値の創出のため、NEDO事業で開発中の独自技術をベースに、2030年のSAF商用化を目指して事業開発を推進しています。

※非可食のココナッツをSAF原料として有効な「規格外ココナッツ」と定義し、ICAO(国際民間航空機関)の原料登録リストへ新規登録されました。

主な事業内容

  • 「規格外ココナッツ」の
    SAF原料としての
    世界標準化
  • SAF製造に最適な
    触媒プロセスの開発
  • 原料調達から
    ニートSAF製造・
    販売までの
    サプライチェーン構築

Topic
サプライチェーン全体でGHG ※削減効果70~80%

国外での規格外ココナッツ収集・CCO加工から、日本国内でのニートSAF製造までの過程において大幅なGHG削減効果を目指しています。

SAFとは?

「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」とは、持続可能な航空燃料のことです。
廃食油・サトウキビなどのバイオマス燃料や都市ごみなど循環型の原料から製造されるため、ライフサイクル全体で約60~80%のCO2削減効果が見込まれます。

植物を原料とすることでCO2の排出・吸収量を相殺

  • SAF
  • 従来のジェット燃料

世界のSAF供給量は、未だジェット燃料供給量の0.1%程度

航空業界は持続可能な社会の実現に向けて、CO2排出量を抑えた燃料の研究を進めてきました。一方で、世界のSAF供給量は、2022年時点でジェット燃料供給量の0.1%程度に留まっています。日本においても国産SAFの生産は少量であり、国内外においてSAFの生産・普及が急務といえます。

ニートSAFとは?

現状、SAFはJetA-1などの化石航空燃料と混合して使用する必要があります。
化石燃料との混合後を混合SAFと称するのに対し、化石航空燃料と混合する前の状態をニートSAFと称します。

事業の特徴

01世界で初めて規格外ココナッツ由来のSAF事業化に着手

航空燃料の脱炭素化が喫緊の課題となる中、当社は「規格外ココナッツ由来のSAF」商用化に向けて、世界に先駆けて研究・事業開発を続けてきました。

SAF原料としてのココナッツのポテンシャル

ジェット燃料(炭化水素)に近い炭素数

これまでバイオマス燃料として注目されてきたパーム・ジャトロファ・菜種油などと比較して、CCO(Clude Coconut Oil/ココナッツオイル)中に含まれる脂肪酸は、ジェット燃料を構成する炭化水素と炭素数が類似しています。これにより炭化水素を切断するための水素を節約することができます。

01 世界で初めて規格外ココナッツ由来のSAF事業化に着手
全部位で発電・燃料活用が可能

ココナッツは殻・内果皮・ココナッツウォーター・果肉の全部位を発電や燃料として活用可能であるため、
GHG(温室効果ガス)の大幅な削減およびカーボンニュートラルの実現へ大きく貢献することが期待されます。

01 世界で初めて規格外ココナッツ由来のSAF事業化に着手
01 世界で初めて規格外ココナッツ由来のSAF事業化に着手01 世界で初めて規格外ココナッツ由来のSAF事業化に着手

02規格外ココナッツのSAF原料としての世界標準化

ココナッツのSAF原料化は、規格外ココナッツの定義づくりからスタートしました。
インドネシア政府との連携を図りつつ事業が推進される中、2024年3月、当社の「規格外ココナッツ」はICAO CORSIAのPositive Listに登録されるに至りました。

01

規格外ココナッツの定義づくり

SAF原料として使用可能なココナッツの国際的な定義づくりをリード

インドネシア政府・国連下の政府間組織の支援
02

2024年3月 規格外ココナッツがSAF原料に新規登録

ICAOのCORSIAにてPositive Listに登録

03

CORSIA認証取得を目指して、持続可能な原料調達の仕組みづくり

原産国にCCO製造工場の建設プロジェクトを推進

生産地からCCO製造工場までのトレーサビリティーシステムの構築

※ICAO:国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization
※CORSIA:Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation

規格外ココナッツ
(Non-Standard Coconut)の定義

  • 未成熟 Too small未成熟Too small
  • 芽が出ている Sprouted芽が出ているSprouted
  • 割れている Cracked割れているCracked
  • 腐っている Rotten腐っているRotten

参考 規格品ココナッツ

  • 参考 規格品ココナッツ参考 規格品ココナッツ
  • 参考 規格品ココナッツ参考 規格品ココナッツ

03原料メリットを活かした触媒開発を進行中

ジェット燃料に近い炭素数のCCOならではのメリットを活かして、低水素圧での触媒反応を進行させています。CCOからニートSAFを生成するための水素化反応・脱炭酸反応・異性化反応を一括で行う多機能触媒により、クラッキング反応を抑えた環境低負荷かつ低水素消費の触媒反応プロセスを構築中です。

03 原料メリットを活かした触媒開発を進行中03 原料メリットを活かした触媒開発を進行中

上記反応を一括で行い、かつ脱炭素反応を促進する「多機能触媒」を開発環境にやさしい低水素消費プロセスの構築へ

グリーンエネルギー循環型SAFプラント構想

グリーンエネルギー循環型SAFプラント構想

04ASTM規格に適合したニートSAF製造に成功

ASTM規格とはJIS規格と同様の工業規格であり、世界最大規模の標準化団体「ASTM International(米国試験材料協会)」によって策定されています。当社は、2019年より東京農工大学と規格外ココナッツ由来SAF製造のための新規触媒開発の共同研究を開始し、2024年6月にASTM規格に準拠したSAF製造に成功しました。

2024年6月、ASTM D7566のAnnex2に準拠したSAF製造に成功

04 ASTM規格に適合したニートSAF製造に成功04 ASTM規格に適合したニートSAF製造に成功

Topic

サプライチェーン全体でGHG削減効果70~80%

当社は、インドネシアやフィリピンなどのココナッツ主要生産国における「規格外ココナッツ」の調達からCCO製造、CCOを日本に輸入してのニートSAF製造、さらにSAF製造会社への輸送・販売までをSAF事業のビジネスモデルとしております。
原料調達からニートSAF製造・販売までのフロー全体で、従来のジェット燃料に比べて約70~80%のGHG削減効果が予測されます。

サプライチェーン全体でGHG削減効果70~80サプライチェーン全体でGHG削減効果70~80<当社事業領域>

将来の事業展望

2030年の商用プラント稼働により
世界的なSAF需要に応え、環境課題の解決に貢献する

規格外ココナッツの原料認証、ASTM規格に準拠したニートSAF開発の成功など、順調にSAF事業開発を推進してきた当社は、次のステップとして2026年中の実証プラント稼働開始を予定しています。

航空業界が抱える燃料問題、ひいては世界が立ち向かうべき環境問題に対して国内外に先駆けて一石を投じるべく、当社は今後も実証研究・さらなる事業化の推進に努めてまいります。